近松プロジェクトについて


近松門左衛門の代表作の一つ『今宮の心中』の英語版を、イギリスの演劇学専攻の大学生キャストにより、現代劇から古典まで幅広く手がける演出家・湯浅雅子の斬新な解釈のもとに上演します。

”Lovers' Suicides at Imamiya"(湯浅版『今宮の心中』)は2004年に始まった「近松プロジェクト」の第3回作品です。本プロジェクトの第1回作品は2004年3月にイギリス国立リーズ大学ワークショップシアターとの提携公演で行われた”Woman-Killer in Oil Hell”(湯浅版『女殺油地獄』)でした。2006年に第2回作品”Tsuzumi-drumbeats over the Horikawa/ 湯浅版「堀川波鼓」”をエディンバラ国際音楽演劇祭を含む日英五都市で上演しました。

本プロジェクトの究極の目的は近松劇をシェークスピアやチェーホフの作品のように世界演劇のレパートリーに入れ込むことにあり、その足がかりとして、まず、近松世話物3作の英語台本による上演を敢行していきます。

イギリスの学生たちは、近松作品に出演することで日本の時代劇の動きや仕草を学び、当時の日本の社会や文化を追体験し、また、近松劇を通して日本演劇の真髄にも触れることでしょう。学生たちはイギリス演劇の次代を担う人々であり、近松の芝居が彼らを通していっそう広まることが期待できます。

一方、日本の観客は近松の作品をいつもとは少し異なった角度から観ることになります。英語にした場合、日本語の場合よりも芝居がはっきりと立つということが往々にして起こるので、日本の観客には近松劇への新鮮な感動を再び持ってもらうことが可能になるでしょう。

ぜひご期待下さい!


→湯浅雅子「近松プロジェクトの目的と意義」

Copyright ⓒ 2008 ChikamatsuProject All Rights Reserved.